「あれ」「これ」「それ」

「あれ」「これ」「それ」

録音音声には「あれ」「これ」「それ」が頻繁に出てきます。
聞こえにくいな、何て言っているのかなと耳を澄ましてみると、「こう言うとあれなんだけど」「これなんかは」というように指示語混じりの文や単語であることが結構あります。

そもそも日常会話にはよく出てきますよね。自分も無自覚に使いまくっています。

その理由ですが、話は古代へさかのぼるようです。

米作りは中国の伝来により弥生時代から始まったと言われていますが、古くから農耕民族である日本人は田畑の恩恵を受けて生活してきたため、簡単に引っ越しをすることができませんでした。
長くその土地に居を構えていると、風土や価値観、文化など生活を取り巻くものの全てを近隣の人たちと共有することになります。
会話をしている人の癖やその場の状況も把握しているので、多くを語らずとも指を指したり、「あれ」「これ」などの短い言葉で伝わるようになります。
以心伝心、空気を読む、状況を察するといった能力が高まるのも頷けますね。

父親がリビングでうろうろしていると、母親が「リモコン?」と聞く、あれも同じ現象のような気がします。

ちなみに、このように文脈や背景に大きく依存した文化はハイコンテクスト文化と呼ばれています。(反対に、ローコンテクスト文化というものあり、こちらは言語を中心にコミュニケーションをとる文化を指します。1970年代に異文化コミュニケーション学の先駆者と呼ばれている文化人類学者エドワード・T・ホール氏によって提唱されました)

「あれ」「これ」「それ」を使った会話で当人同士は理解し合えるため、音声の中によく出てくるのも納得なのですが、文字起こしをしている私たちには何のことやらさっぱり分からないことがあります。

特に会議の議事録など、「あれ」「これ」「それ」のまま書き起こしては後で読んだときに意味が分からなくなってしまう場合も多々あります。
そこで多くの場合、私たちは音声から内容を理解し、文脈を把握した上で「あれ」「これ」「それ」が指すものを特定して原稿を作成しているのですが、言葉だけではつかみ取れない情報がたくさんあるので、どうしても限界があります。
そうしたギャップを埋めるため、お客さまには会話に関する資料のご提供をお願いしております。
原稿精度を高めるためにも、音声と一緒に必ずご用意ください!

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